第五住心 抜業因種心(ばつごういんしゅしん)
抜業因種心(ばつごういんしゅしん)とは縁覚乗の悟ると
ころであり一部の縁覚の実践するところである。
(縁覚:仏教では、十二因縁を観じて理法をさとり、ある
いはさまざまな外縁によってさとるゆえに縁覚という。
十二因縁とは人間が「苦」を感ずる原因を順に分析したもの
で、迷がどのようなものであるかを知ることが、悟りであると
いう意味で
1.無明 過去世の無始の煩悩。煩悩の根本が無明とする
2.行 過去世の煩悩によって作った善悪の行業
3.識 母胎中に受胎した刹那の五蘊(色受想行識)
4.名色 胎中にあって身心の発育する位
5.六処 胎中にあって眼耳鼻舌身意の六つの感官が備わり
母体を出ようとする位
6.触 生誕後しばらくの間のこと。事物に関して苦楽を
識別することなく、ただ事物に触れて感知しようとする位
7.受 苦楽捨といわれて苦をいとい楽をよろこぶような心
の生起する位で性を求めるまでの位をいう
8.愛 性欲を起こし、異性を求める位
9.取 自分の求めるもののために馳求する位
10.有 未来の生活や環境を結果する行為によって業因を積集
する位で人間一般の生存をいう
11.生 前の業因によって結果した未来の生存をいう
12.老死 生の刹那(=識)から受の位までを老死という。生老
死は前の識名色六処触受の五位をさすことになる
この解釈は、説一切有部の解釈で、1.2.が過去の因、3.-10.が現
在の果であり将来の因となり、11.12.が将来の果であるとする。
過去現在未来が二重の因果関係になっているので、三世両重の因果
という。)
父母を縁として生まれてきた自分は日常生活の中で因と縁によ
って起こることに対処しているのであって、その因と縁は自分が
起因していることもあれば、自分が起因していないこもあるとい
ったことでしょうか。
因や縁による反応や相互作用によってさまざまな事象が生じて
いる。苦の原因は十二因縁によるものであり、ないはずの「苦」
を感じる。
空海は言います「彼の華葉を見て四相の無常を覚り、この
林落に住して三昧を無言に証す。業悩の株杭、これによって
抜き、無明の種子、これによって断ず。」
花が散り葉が落ちるのをみて生命の時間の経過による変化を
覚って、閑居して精神統一し、煩悩の根幹を引っこ抜いて無明
の原因をなくしてしまう。
たった数行でこれだけの内容を含む漢文もすごいですが
これを書いた空海の文章力もすごいと思います。
空海 秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく) その6
空海 秘蔵宝鑰
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