第一住心 異生羝羊心(いしょうていようしん)
心の発達段階を十に分類した第一段階は、この異生羝羊心です。
この意味は「無知なものは迷って、わが迷いをさとっていない。
雄羊のように、ただ性と食のことを思い続けるだけである。」と
しています。本文では「凡夫狂酔して、善悪をわきまえず愚童、
痴暗にして因果を信ぜざるの名なり。」としています。解説者
の宮坂宥勝先生はここを「これは世のつねのものがはなはだしく
無知の酒によって善悪の見さかいがつかず、愚かな者が暗く無知
で因果の理法を信じない心に名づけたものである。」と現代語訳
されています。
雄羊は愚かで弱いのでしょうか。私が子供の時、隣の家でこの
雄羊を飼っていて、期間ごとに毛を剃っていました。要するに羊
毛を売って少しお金にしていたのでしょう。おとなしくて、気の
弱い羊には気の毒ですが愚かな代名詞にされています。
でも昨今の有様を見るとこの羊以下の人間もいるようにも思い
ます。羊は仲間や人間を利欲のために陥れたり殺めたりしません
が平気でそれを、まして計画的にする人間がいると思うと人間に
よっては、この羝羊以下なのでしょう。
「日夕に営々として衣食の獄につながれ、遠近に走り逐って名
利の坑に墜つ。」空海はこう批判していますが私などは名利など
はどうでもいいことですが、本当に衣食の獄(日々糧のための生
活)につながれているように思います。
空海 秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく) その2
空海 秘蔵宝鑰
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