だから如来はひとまず人間界・天上界の教えを与えて極苦の人々を救うのである。声聞と縁覚との教えによって至ったところはきわめて小さな城であるといえ、地獄などの迷いの世界に較べれば既に火災中の家屋からは脱出したことになる。だから、如来はかりにかりに羊の車や鹿の車を説いて仮の存在である城に導いてしばらく休ませるのである。第八の菩薩宮と第九の一道無為宮の二つの宮はまだ究極の第十秘密曼荼羅金剛界宮に至ってはいないといっても前の諸々の住居とくらべればこれまた大自在にして安楽、現象を離れて絶対なるものである。だから如来は大乗と小乗にたとえられる二つの牛を与えて帰るべき所を示したのである。
空海著 秘密曼荼羅十住心論 8 大章序 No 6
空海著 秘密曼荼羅十住心論
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