現在は少し遠くに見える海(橘湾)に火力発電所ができたり右側
の山で石灰岩の採掘が行われたりしており、山の木は杉、ヒノキの
植林の林になっています。
今から1200年前に空海がここで見た風景とほんの少し違って
いるかもしれません。
山事態は本当に岩山で、映画で見た「空海」では太龍寺で従者と
ともに登山のような調子で岩山を登っています。当時はそうだった
のかも知れません。でも地形としては空海の当時、1200年前の
まま変わってないだろうと思います。
前から見おろすと確かに谷が真下にあり現在でも雨がたくさん降
るとごうごうと音を立てて流れますが、ここから聞こえるかどうか
はわかりません。ここに立っていると下から、風が湧き上がってき
たりもします。
ここで空海が何を聞いて「三教指帰」にある”谷響きを惜しまず”
と書いているのでしょうか。でも何らかの手応えは確実にあったの
だろうと思います。空海がこの太龍寺でどのくらい逗留したのか、
どの程度、虚空蔵求聞持法を修法したのかわかりませんが、おそら
く二十歳前の青年期の爆発的なエネルギ-のすべてをここで費やし
たのだろうと思います。谷が響くことはないと思います。大宇宙と
個である自分の小宇宙の一体感といったようなことが空海と題する
本によく書かれています。弘法大師・空海と、とるにも足らない私
の体験とは比較になりませんが、太龍寺に80回登って私が思った
のは登っている私と山の道、木や草のにおい、小鳥の声、澄んだ空
気、柔らかい光などすべてとの一体感でした。”谷響きを惜しまず”
とは山や木、草が呼吸をし、まさに生きていて、そしてその中で自
分も生きている、自分も含めてそれらすべてが命としてつながって
いることの感じをものすごく力強く手に取るように感じることがで
きたのではないでしょうか。山、木や草、空気、水、光の溢れんば
かりの生きている声が聞こえたのではないでしょうか。
もちろん私はまだそこまで感じることはできていません。
南の舎心(空海座像の位置)から見える風景 ~谷響きを惜しまず~

続6 太龍寺 南の舎心 谷響きを惜しまず
虚空蔵菩薩求聞持法 太龍寺

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